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「目標」と「目的」の違い

1.3.1



日ごろ、よく口にする「目標」と「目的」───両者の違いは何だろうか?

まず、目標とは単に目指すべき状態(定性的・定量的に表される)をいう。
そして、そこに意味(~のために)が付加されて目的となる。
それを簡単に表せば───

    目的=目標+意味   となる。

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次の有名な寓話「三人のレンガ積み」で考えてみよう。

中世のとある町の建築現場で三人の男がレンガを積んでいた。
そこを通りかかった人が、男たちに「何をしているのか?」とたずねた。

一人めの男は「レンガを積んでいる」と答えた。
二人めの男は「食うために働いているのさ」と言った。
三番めの男は明るく顔を上げてこう答えた。
「後世に残る町の大聖堂を造っているんだ!」と。



このとき、3人の男たちにとって目標は共通である。つまり、1日に何個のレンガを積むとか、何ミリの精度で組み上げるとか、何月何日までに終えるとか。

しかし、目的は3人ともばらばらだ。

一人めの男は、目的を持っていない。
二人めの男は、生活費を稼ぐのが目的である。
三番めの男は、歴史の一部に自分が関わり、世の役に立つことが目的となっている。

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目標は他人から与えられることが十分ありえる。
しかし、目的は他人から与えられない。意味は自分で見出すものだからだ。

何十年と続く職業人生にあって、他人の命令・目標に働かされるのか、
自分の見出した意味・目的に生きるのか―――この差は大きい。

仕事の意味はどこからか降ってくるものではなく、
自分が意志を持って、目の前の仕事からつくり出すものだ。
そしてさらには、意味のもとに仕事をつくり変えていくことだ。

もちろんその意志を起こすには、それなりのエネルギーが要る。しかし、それをしないで鈍よりと重く生きていくことのほうが、もっとエネルギーを奪い取られる。―――さて、あなたはどちらの選択肢を選ぶか?


ところで、先の3人の男のその後を、私が想像するに……

一人めの男は、違う建築現場で相変わらずレンガを積んでいた。
二人めの男は、今度はレンガ積みではなく、木材切りの現場で
「カネを稼ぐためには何でもやるさ」といってノコギリを手にして働いていた。
そして三人めの男は、
その真摯な働きぶりから町役場に職を得て、
「今、水道計画を練っている。あの山に水道橋を造って、
町が水で困らないようにしたい!」といって働いていた。





【すべてのビジネスパーソンへの問い】
    □他からの目標をこなすことだけに忙しくしていないだろうか?
    □目標に自分なりの意味を与えている(=目的をつくり出すことをしている)だろうか?
    □その目的は、パンを得るレベルのことだろうか、
    それとも町の大聖堂をつくるレベルのことだろうか?

【経営者・上司・人事の方々への問い】
    □働き手に、もっぱら「目標」だけを課していないか?
    □組織が持つ事業の意味と、働き手が持つ仕事の意味を重ね合わせることの
    支援をしているだろうか?
    □あなたの組織の目的は、パンを得るレベルのことだろうか、
    それとも町の大聖堂をつくるレベルのことだろうか?




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