「もっと欲しい」から「これでいいのだ」へ
きょうは『自由からの逃走』などの碩学の著で知られる
ドイツの社会心理学者、エーリッヒ・フロムの言葉から。
「〈所有〉に方向づけられている人は、
自分自身の足よりも松葉杖を使って立とうとする。
そのような人は、実存するということ、
すなわちみずからが望むような自分自身になるということのために、
自分の外部にある対象を用いる。
何かを〈持つ〉限りにおいて、その人は自分自身たりえるのである。
個人は客体の〈所有〉に依拠して、主体としての〈在り方〉を決める。
そのような個人はさまざまな対象によって所有されているのであり、
したがってそれらを〈持つ〉という目標によって所有されているのだ」。
―――エーリッヒ・フロム『よりよく生きる』
(小此木啓吾監訳、堀江宗正訳、第三文明社)
「所有」に執着する生き方ではなく
「在り方」を充実させる生き方へ―――ということを
やや学術的な言い回しではありますが実に的確に表したフロムの言葉です。
私なりにもう一言。
「Have more」(もっと欲しい)の生き方から
「Well-Being」(これでいいのだ)の生き方へ。