「消費されない記事」を目指して~ブログ4周年
沖縄・宮古島「砂山ビーチ」にて
この砂山ビーチへのアプローチ道は、来るたびに、どこか「坂の上の雲」を連想させるので好きな景色のひとつです
「私の人生は、現在を超越することであり、
一段一段と前進することでなければならない、
と、そんなふうに考えていた。
音楽がひとつひとつのテーマを順に、
ひとつひとつのテンポを順に片づけ、
演奏し終え、完成させ、前進していくように、
けっして倦まず、けっして眠らず、
つねに醒めて、つねに完全に沈着に、
人生の階段をひとつずつ通りすぎ、前進していくべきである」。
───ヘルマン・ヘッセ 『人は成熟するにつれ若くなる』
2008年3月9日、このブログの第一稿を沖縄の地で書き始めてから丸4年が経ちました。
これまでに積み重ねることができた記事は、245本。
これは自分自身の「シュヴァルの理想宮」プロジェクトだと宣言しましたが、
石ころを拾い集めて、あの城を造ってしまったシュヴァルから比べれば、
まだまだ労働量の微々たるものだなぁと思ってしまいます。
量を目的にはしないのですが、
1000本くらいまでは書くのがいいだろうと思っています。
「百里を行く者は九十を半ばとす」ということわざがありますが、
1000本をひとまずの区切りとすれば、900本で半分の道のり。
半分もまだまだ遠い先ですが、1本1本を楽しみながら、生み落としていくつもりです。
○「消費されない記事」を
私が意識しているのは、「消費されない記事」を書くこと。
かつて、ビジネス雑誌の記者だったころ、
表層の出来事を追い、流行の情報を書いて給料をもらっていましたが、
(そうしたコンテンツに需要はあるし、世の中に必要なものではありますが)
7年間もやれば、それは卒業ということで、
もっと自分のなかに積み上がっていく内容、
世の中がどう変わろうと読まれ続ける内容を目指して、ものを書くスタンスを変えました。
「100年後の人にも読んでもらえる記事」
───それをいつも気に留めています。
また、これに呼応して記事のタイトルづけも、
旬のワードを入れたり、クリックを誘う刺激的な表現はできるだけ避けながら、
正面から真面目に言葉を選ぶようにしています。
○「悩んでいる人・想いのある人に響くように」
知人からよく指摘を受けるのは、
内容が「真面目すぎる」「かたい」「説教臭い」「教条的」「観念的」といった点です。
確かに、そうかもしれません。
すごく大事なことを、さっと明るく、軽やかに、書いてしまえる
うらやましい人が世の中にはたくさんいます。
そういった人の文章を私も一生懸命勉強して取り入れようとしているのですが、
いかんせん、やはり「文は人なり」で、どうしたって人間性が出てしまいます。
文体や文章の雰囲気は、もうこれが自分の“地”なんだから、
このまま押すしかないと思っています。
そして、内容面。
これも、あるタイミングから自分のなかで割り切りができたのですが、
多少、教条的だろうが、観念的だろうが、
多くの読者に読まれるように、へんに中途半端な調整はやめようということです。
このブログは、読まれる数を追っているものではなく、
世の中には少数かもしれないけれど、
こういうことに悩んでいる、停滞している、弱っている、
あるいは、
こういう想いを持っている、目指している、問題意識がある、という人たちの心に
響く何かが届けられればいい、という肚構えで書いています。
宮古島「与那覇前浜ビーチ」
○創造したコンテンツを自分のなかに囲わない
これもよく仕事仲間から言われることですが、
そんなにコンテンツを気前よくアップしたら真似されるじゃないか、
商売上、得策にならないよ、ということです。
私の働く信条は、40歳のときに大きく変わりました。
「40以上の寿命は天からの授かりものと思って、
以降はもっと世のため人のためにこのアタマとカラダを使いたい」と。
確かに、自分の重要な表現やアイデアは著作権などで守るべきは守らねばなりませんが、
こと、文章や考え方に関しては、
それをすべてお金につなげようとしたり、顧客の中だけに閉じようとしないことです。
自分の文章や考え方が、たとえ真似されようとも、
それが広がっていくことが意味のあることだと思えるようになりました。
(その前に、真似されるに値する、優れたものを書き出せるかどうかですが)
また、真似ではなくとも、それがいろいろな人のヒントとなって、
いろいろな考え方がつくり出されることこそ本望です。
考えてみれば、私の考えやアイデアだって、
すべては過去・現在のいろいろな人の考えを吸収しているからこそ湧き起こるものです。
考え、整理したものは、どんどん世の中に放出する。
それが過去・現在の賢人たちへの恩返しになるし、未来への貢物になる───
それがいまの私の信条です。
「目の前には手も触れられていない真理の大海原が横たわっているが、
私はその浜辺で貝殻を拾い集めているに過ぎない」。
───アイザック・ニュートン
本ブログは5年目に入ります。
今後ともご愛読よろしくお願い申し上げます。
肌寒い3月の沖縄・宮古島にて