特集:08年「初夏の仕事キャンプin信州」雑記&フォト
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5月第4週、新緑薫る季節に08年「初夏の仕事キャンプ」を張る。
今回の滞在地は、八ヶ岳南麓から西麓にかけての高原地。
東京の喧騒を離れ5日間、
森の中の小さな宿と白樺の木陰が、私の仕事場となる。
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Scene 1 八ヶ岳山麓の空気1
4月初め、沖縄に滞在して仕事をしました。
そのとき、主には、次回出版する著書の企画を頭の中でめぐらせ、
出版社の編集者にどうプレゼンをしようか、そんな類の仕事を
石垣島の陽光と風を受けながらしていたわけです。
で、その後、うまく企画が通って、
本の構成やら仮タイトルやらが決まり、いよいよ本文の執筆作業。
そして今回、八ヶ岳山麓の森の中で、その本文原稿を書いています。
私は、島も山も好きです。
どちらかに住めと言われれば、たぶん相当に悩むと思います。
(いや、悩んだあげく、両方に住むのではダメかと言い出すでしょう)
私にとって、島は、企画あるいは初期の発想の仕事に向いています。
一方、山は、その企画・発想を本格的な形・表現に出力する仕事に適当だと思います。
(南国の)島環境は、
私のアタマを活性化させ、アイデアを湧かせる働きがあります。
(高原の)山環境は、
私のアタマを深耕化させ、表現を練らせる働きがあるように思えます。
「動」仕事の島、「静」仕事の山。
「ひらめき」仕事の島、「深掘り」仕事の山。
いずれにしても、島と山は、仕事の「仕込み」の場として重要な環境です。
では一方、東京での仕事は何なのか――――?
東京は、お客様となる企業がたくさんありますから、「営業」の場になります。
そして、研修サービスを行う「実施」の場になります。
また、人的ネットワークを活かした「協業・創発」の場となります。
今の私にとって、仕事の場として島も山も、
そして東京もそれぞれに意味のある大事な環境です。
それら対照的な環境が、相補・相乗的に仕事や生活を面白くする―――――
それが私の言う「ハイブリッド・ライフ」、そして
「ワークライフ・ブレンド」の姿です。
Scene 2 キャンプ模様
2●【ピクニック感覚で仕事を楽しむ】
多忙なビジネスパーソンのためのタイムマネジメント法の1つに
「自分にアポを入れる」というのがある。
つまり、自分のスケジュール帳に、
自分1人になって集中的にやるための時間を書き込み、
その枠を侵食されないようにロック(鍵掛け)するわけです。
その時間帯は自分という最も大事な人のためにアポイントされたものであり、
他のどんな会議や上司からの命令、所用ができたとしても、
「そこは大事な先約がありますから」と断る自己ルールをつくるのです。
私はそのようにして、4日間とか1週間とか、
まとまった時間を集中仕事のために確保します。
もちろん、会社組織で働く方々にとってはそんな日数は無理でしょうが、
せめて半日とか1日という時間を、そうやって定期的に確保することをお勧めします。
よりよく働き、よりよいキャリアを形成している人は、たいてい、
「緊急ではないが大事なこと」を考え、始めの一歩を仕掛ける時間を
意図的に取ることをしているものです。
「緊急で、些細なこと」に忙殺されてしまうと、簡単に1年、3年、5年が経つ。
そして振り返ってみると、中長期でどこにもたどり着いていない、あるいは、
どこにも向かっていない自分を発見する。――――たぶん、ガクゼンとしますが、
その時間は戻ってきません。
ま、ともあれ、
自分で自分の時間のアポを入れ、まとまった時間を確保したら、
普段手に付けられない中長期レンジに必要な仕事をするもよし、
ただ本を読むもよし、自分の知識の範囲を広げるための研究もよし、
将来のことを妄想するもよし、
ともかく思索=“アタマを耕す”ことです。
私は、そんな類の仕事を、ピクニック感覚で楽しんでいます。
キャンプ用のテーブルとイスを森の中(都心なら公園)の木陰に置き、
そこを仕事デスクにしてしまう。
また、コット(折りたたみベッド)を脇に設置すれば、
好きなときに昼寝ができたり、
そこに寝っ転がって本を読んだりもできる。
そして、腹が空けば、買い出しておいた弁当やお茶、お菓子を食べる。
私は、キャンプで使っているガスコンロとやかん、マグカップを持参して、
ドリップコーヒーを入れる態勢にもしています。
こうしたリラックスした雰囲気の中でやる思索仕事こそ、
人生の岐路を知らずとつくりだす創造行為になります。
遊ぶようにやる仕事、
遊ぶようにやる思索。
あるいは、
仕事が遊びになる、
思索が遊びになる。
こういう状態を獲得する働き人は幸せだと思います。
(私も、自分自身、幸せな働き人だと思っています)
ちなみに、こういう場合の「遊び」とは、
気分転換にやる遊興の遊びではなく、真剣にやる没頭活動の遊びです。
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そうした時間も忘れて何かに没入する状態を心理学者のチクセントミハイは、
「フロー」と呼びましたが、
これについては別途、このブログで書こうと思います。
私はいま、地方と東京での「複棲(棲みかが2つある)人生」を目指して、
こうして山か島に来て、仕事キャンプを張っている。
複棲のうち、本宅(兼オフィス)は、山か島にしたいと思っている。
(他方、仕事の前線である東京は、賃貸住居でいいと思っている)
だからこそ、その土地探しは充分に時間をかけて選びたいのです。
そのために、ウィークリーマンションやホテル、旅館、ペンションなどに
宿泊して、いろいろな土地を見て回っている。
仕事キャンプは、実は、土地の下見活動も兼ねている。
沖縄は、安価で快適なウィークリーマンション(ネット回線施設済み)が
観光地の近くの環境のいい場所に少なからずあり、
1週間とか2週間の仕事キャンプを張るにはうってつけです。
沖縄になぜこんな物件が多いかといえば、
ダイバーたちが長い日数を借りたり、
移住体験のために何ヶ月か住んでみる人たちが増えているからだと聞きます。
ところが、関東近辺は、宿泊場所を探すのに困ります。
軽井沢にしても、今回のように八ヶ岳南麓・西麓にしても、また伊豆にしても、
自然環境のいいところでウィークリーマンションはまずありません。
また、ホテルや旅館は、お1人様の宿泊を歓迎しません。
(2人分に近い料金を払えば別ですが)
また、個人ペンションなどは、1泊2食付きという設定があります。
私はどうもあのペンションの2食付きが苦手です。
私は食事は簡単なもので済ませたり、
地元の専門店で1点豪華で旨いものを食ったりするスタイルがいいので。。。
そんな折、今回見つけたのが、日本版モーテルの『旅籠屋』さんです。
同社は、現在、全国に宿泊店舗を拡大中のベンチャー企業です。
(甲斐真社長の起業話が本になっていますが、面白い内容です)
今回、初めて小淵沢店に宿泊してみました。
シングル1泊利用で5,250円(簡単なセルフ朝食付き)。
シングルとはいえ、部屋はツインルーム形式を使います。
部屋自体も、地方のビジネスホテルより広くて快適です。
窓を開けると雄大な八ヶ岳が・・・という風ではありませんが、
ネット回線があり、静かな立地で、標高も1000m近くあり、
初夏の仕事キャンプの拠点としては「可」かなと思いました。
(*ただひとつ、個人的には、同社のクマ(?)のマークや黄色の看板など、
デザインテイストがファンシーぽくって、引いてしまいます)
日本の旅行産業の中で、未だ発達していない分野のひとつが、
この「モーテル市場」です。
(その代わりラブホテル市場が独自の形で発達しました)
私は米国留学時代に、クルマで頻繁に旅行をしましたが、
アメリカはモーテルが充実しています。
1泊1人30~50ドルも出せば、選択に困りません。
ハイウェー沿いや観光地には、
「Best Western」、「Days Inn」、「Travelodge」などのナショナルチェーン
をはじめ、いろいろなグレードの宿泊施設があります。
リーズナブルな宿泊施設は、これに加え、B&B(Bed&Breakfast)と呼ばれる
個人ペンション群も充実しています。
日本のように2食付きではありません。その名の通り朝食のみ付いています。
(朝食は、各施設によってかなり独特です。それが楽しみです)
だから、気楽に利用できます。
私は「Best Western」グループのヘビーユーザーでしたが、
同グループは「安かろう悪かろう」ではなく、
「リーズナブルであろう、期待以上の施設であろう」なところが買える点でした。
ちなみに、南仏をレンタカーで旅したときも、
「ミシュランガイド」を頼りに、その日その日でロードサイドや街中のホテルを
探しましたが、やはり安価でいい(大人テイストの)施設がたくさんありました。
いずれにしても、日本にも
こうした「安価で、こざっぱりした、自然環境立地のよい」宿泊施設、
しかも1人旅でもOKなところが増えてくれることを願っています。
Scene 4 キャンプ中の楽しみ