その人の思想は、その人が読んだ書物から出来上がる
その人の肉体は、
すなわちその人が食したものから出来上がっている
――――とは単純な事実ですが、
それと同様に、
その人の思想は、
すなわちその人が読んだ書物から出来上がっている
ともいえます。
人が一生の間に直接に出会うことのできる人の数はおよそ限られています。
そしてまた、
その直接出会うことのできる人の中で、
本当に自分に影響を与えてくれる人物というのは極めて限られています。
しかし、書物を通して間接的に出会う人びとは無限です。
しかも、古今東西の偉人、哲人、才人、変人など、接する人物を
自分の意思によって選び取ることもできます。
時代に朽ちない古典書物など本当に力ある書物というのは、
時空を超えて著者とぴーんとつながることができます。
文字を通しての間接的な対面にもかかわらず、
ときに直接に対面するとき以上の影響を読み手に及ぼします。
そこから得たメッセージ、エネルギーは、
その後、読み手の心の奥底に静かに強く留まり、
思想の血肉となり、行動の源泉としての滋養を与えてくれます。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
実は私は、子供の頃から読書ぎらいでした。
大学に入ってからも、試験で必要となる専門書以外、
そして若いサラリーマン時代も業務で必要なビジネス実用書以外、
ほとんど読書をしませんでした。
それは、いま、考えてみると、
「怠けたココロが、読書を要求しなかったんだな」と自省しています。
よく運動する人は、よく食べるし、よく眠る。
ごろごろしてばかりの人は、おなかも空かないし、眠りも浅い。
これと同じで、
だらり安穏暮らしをしていた20代までは、
さしたる志や強い理想もなく、ココロが怠け状態にありました。
だから、読書欲も起きない。
また、たまに意を起こして古典名著を読んではみるものの、
表面の文字面しか追うことができない。
ところが、30代以降、
自分の本当にやりたい目的がおぼろげながらにでもみえてきて、
そして40代に入ってその目的のために独立をしたときから、
私の読書欲は一気に噴出しました。
前に進むエネルギーをもらうために、
また、前を切り拓く知恵を湧かせるために、
そして、前の霧を晴らす風を起こすために、
古典や名著と呼ばれるものを貪欲に読むようになりました。
そして、若いころとは段違いに
行間ににじみ出る著者の思想を感得できるようになりました。
ようやく、“シンドク”=身読・心読の域に届いてきたのかなと思います。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
このカテゴリーでは、
職・仕事・キャリアを考えるにあたって
私がとても深い示唆とエネルギーをもらった本を紹介していくつもりです。
人びとの心の中に深く留まって輝き続ける宝石 ―――――
それが名著・名言です。
「ことだま」とは、通常は、“言霊”と書きますが、
私は、心に残る宝石という意味で、「言玉」と当てたいと思います。
さぁ、みなさんと一緒に、「言玉」集めをしましょう。