« 「苦」と「楽」の対称性 | メイン | 新社会人に贈る2013 ~自分の物語を編んでいこう »

2013年2月24日 (日)

留め書き〈031〉~素の能力・素の人間

Tome031_2

お金をたくさん稼ぐ能力というのは、言ってみれば、
何かスポーツで得点を上げるのがうまいことに似ている。

だから、金持ちになることが特別すごいことではなく、
たとえば歌が上手である、すばらしい絵が描ける、
ものづくりがうまいことも
それに負けないくらいすごい能力なのだ。

そうした能力に恵まれながら、
得点競争に興味がなく、能力を換金化することに無頓着で
ひたすら他者を喜ばせることだけでおおらかに満足する
そんな豊かな人が世の中にはたくさんいる。


アランは『幸福論』のなかでこう書く───

「古代の賢者は、難破から逃れて、すっぱだかで陸に上がり
『わたしは自分の全財産を身につけている』と言った」。

 

仮にいま自分が、無人島のように、年収という得点獲得競争のない世界、
能力を換金化しようのない世界に放り込まれたとき、
いったい素の自分にどんな能力があるのだろうか。

素の人間としてどんな魅力があるのだろうか。
そして何よりも、生き物としてそこで存続していけるのだろうか。
その想像は少し自分をどきっとさせてくれる。


過去の記事を一覧する

Related Site

Link