苗床づくりと種まき
ゴールデンウィークが始まりました。
私は地元の田んぼにいます。
「田んぼの学校」は毎年、無農薬栽培です。なので、いま時期の田んぼの雑草はすごい生命力です。ただ雑草といってもちゃんと名のある野草です。レンゲにナズナ、ホトケノザ、ヨモギなど。間近で観察するといろんなものが花を咲かせています。風に小きざみに揺れるカタバミの可憐な黄色の花、オオイヌノフグリの花のすがすがしく繊細な青色のグラデーション、トキワハゼのミクロアートな造形の花……。
かれらは根っこをしっかり張って伸びたい放題、もう、ぼーぼー状態です。近くには除草剤がまかれている農家の商業用耕作地があるので、ひと目で比較できるのですが、その雑草の生い茂る状態は大違いです。
こうした雑草を根っこから手で刈る作業はそれはもう大変です。ですが、こうした作業を経験すれば、農家が除草剤を使うことも十分に理解ができます。
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きょうは水路そうじも行いました。
この田んぼは湧水箇所から水を引いています。水路はコンクリートですが、それでもところどころに水草が生え、さまざまな生き物を囲っています。そうした生態系に極力インパクトを与えないように、引っ掛かった人工物(ビニール袋や空き缶など)を丁寧に取り除いていきます。ザリガニやオタマジャクシ、カワニナ(ホタルの幼虫の餌になる)など、私にとっては何十年ぶりかの手にとっての観察となりました。
「田んぼの学校」は親子での参加も多いのですが、子どもたちにこうした原体験をさせておくことはきわめて大事なことだと思います。
そして午後からは苗床づくりと種まき。各自が自宅で芽を出させた種籾(たねもみ)を持ち寄り、苗床にまきました。芽と根が伸び、稲が10センチくらいまで生長したら、水を張った田んぼに手で植えることになります。それが6月中旬の予定です。
土と草の香りを満喫し、さまざまな生命(いのち)に触れた一日でした。
「春(はる)」は、新しい生命が湧き出でようと「張る(はる)」、田畑を耕して開く「墾る(はる)」、また陽光がきらきらと輝く「晴る(はる)」などからきているそうです。田んぼに出ると、そんないろんな「はる」を鋭敏に感じ取ることができます。同時に、自分自身が生き物として本来もっているエネルギーも自然と呼ばれて、からだの内側から張ってくる状態も感じ取ることができます。農の作業はそうしたからだを蘇生させる力をもっています。