留め書き〈032〉~静かだが、深く広く響いていく声
ほんとうに大事なことは静かに語られる。
静かに語られたほんとうに大事なことは、聴く者一人一人の内に深く沁みていく。
そして時空を超え、確かな波となって広がっていく。静かだが、深く、広く、響いていく声。
私はそんな声を聞き取りたいと思っているし、
発したいと思っている。
そのために“人間の器”をつくる鍛錬が日々ある。
作家・城山三郎さんが座右の銘にしているのが───
「静かに行く者は 健やかに行く。
健やかに行く者は 遠くまで行く。」
だそうだ。私もこの言葉にじんとくる。
この言葉を自分なりに展開してみたのが、上の留め書きである。
オペラ歌手のあの力感と美に満ちた歌声はあの躯体(くたい)あってこそ。
“静かだが、深く、広く、響いていく声”を発するには、
それにふさわしい“人間の器”を要する。
自分の器はどうだろう? ……まだまだ精進せねば。