留め書き〈033〉~「深み」と「高み」
「深み」は、独り負荷に耐えているときにつくられる。
「高み」は、なにか事を成し遂げたときに感じられる。
私はメーカー時代に商品開発を担当していたこともあって、
アイデア手帳を何冊か身の周りに置いている。
当初は思いついたアイデアを書き殴っていたのだが、
いつのころからか(たぶん独立して精神的なプレッシャーの質が変わったころから)、
アイデアより、その時々の心境や想い、決意、悲しみ、喜びの断片を書くことが多くなった。
それをたまに読み返すと、
ああ、ここは結果が出ずに自分が下のほうにもぐっている時期だなという箇所もあれば、
難しい仕事をやりきり、すがすがしさに満ちている箇所もある。
総じて、
「深み」は忍耐強い思索とともに形成され、
「高み」は果敢な行動とともに感得されるように思う。
「紺碧の母なる海の深み」と
「雪渓を抱く雄々しき峰の高み」を合わせ持つ人間は、大きい。