きちんと働くマインド・観を持った人が、強くて安定する
福澤諭吉の言葉に次のようなものがあります。
「思想の深遠なるは哲学者のごとく、
心術の高尚正直なるは元禄武士のごとくにして、
之に加ふるに、小俗吏の才能を以てし、
之に加ふるに土百姓の身体を以てして、
始めて実業社会の大人たるべし」。
よき職業人の要件として、
福澤は、思想、心術、才能、身体の4つをあげているわけですが、
ここで興味深いことは、思想や心術をまず先に置き、
才能をようやく3番目に置いていることです。
私も、その順序におおいに賛同します。
なぜなら、各々の働き手が持つ知識や才能の数々は、
その人の奥底に横たわる働くマインド・観の地固めをしてこそ、
質の高い業務成果およびその再現性へと結びつくと考えているからです。
そして、マインド・観をきちんと持った人が、
いろいろな人生の波に遭遇しつつも、結果的に、
自分自身の満足・納得のいく仕事人生を形成していくことができるからです。
“マインド・観を腹に据えた人”は、ゆらぎつつも安定する。
“知識でっかち”“技能でっかち”の人は、
翻弄され、いつまでも不安定でいる。
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しかし、現実の職業人教育をみると、
知識の注入や技能の習得といった「HOW」ばかりを覚えこませる
プログラムばかりです。
そして、働き手側も、「HOW」の習得に躍起になっている。
だから、書店に行っても、
そうした効率的・功利的な「HOW」の本が溢れているし、売れもする。
「HOW」を身につけることは確かに必要です。
しかし、自分で「WHAT」を考え(=目的を定める)、
自分で「WHY」を考える(=意義を見出す)ことは、もっと必要です。
たまたま良書に出会い、
あるいは、たまたま影響力のある上司に出会い、
自分の働くマインド・観を醸成できた人は幸せです。
しかし、世の中でそうした人はどちらかといえば少数派であり、
ほとんどの職業人はマインド・観を漠然と放置したまま、
日々の業務処理に忙殺されていっているのが現状です。
だからこそ、本ブログのこのカテゴリーでは、
みなさんと一緒に、
働く「マインド・観」をみつめていきたいと思います。