「成功」と「幸福」は別ものである <上>
年収1000万円の働き手と年収400万円の働き手とでは、
年収1000万円もらうほうが、世の中では“成功者”と呼ばれます。
また、莫大な利益をあげる大企業で働いていれば「勝ち組サラリーマン」とされ、
困窮する中小会社で働いていれば「負け組サラリーマン」とされます。
さらに、年収の上がる転職であれば「キャリア・アップ」ですが、
年収の下がる転職は「キャリア・ダウン」のように思います。
いつしか私たちの社会では、
あまりに定量的、功利的な考え方が幅広く支配するようになったために、
他人と自分を量的尺度で比較して、
「多い/少ない」、「勝ち/負け」、「成功/不成功(失敗)」を峻別し、
自分の人生の良し悪しを決めるようになりました。
ですが、ここでじっくり見つめなおしてみたいことは、
他者との比較相対で「多・高・優・強」を獲得した人が、
一般に「成功者」と呼ばれますが、
そのことは同時に「幸福」を保障するものでしょうか?
また逆に、
他者と比較相対して「少・低・劣・弱」である人は、
一般に「不成功(失敗)者」とみなされますが、
そのことはすなわち「不幸」を意味するものでしょうか?
現実社会をみてみると、
仕事やキャリアで「成功」している人が、
「不幸な」生き方をしているケースは多々あります。
同様に、
世間の尺度で言えば、必ずしも働き手として「成功者」とはいえないが、
実に「幸せな」生き方を実現している人は大勢います。
こうしてみると、つまり、
「成功」と「幸福」は別ものと考えるべきなのでしょう。
(その違いについては、次回以降、述べたいと思います)
いずれにしても、このカテゴリーでは、
「仕事の幸福とは何だろう?」、「幸せな働き方/キャリアって何だろう?」
ということについて、考えを深めていきたいと思います。