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2008年4月24日 (木)

上司と部下は「Big Picture」を見晴らせ!


広大な暗黒の宇宙空間に、

青き水を満々とたくわえ、緑を生やし、白い雲が得も言われぬ模様を編みながら

ぽっかりと浮かぶ惑星「地球」。

残念ながら、この地球上で人間同士の争いが絶えたことはありません。


ですが、例えば、もし、

ナゾの巨大隕石が1年後に地球に衝突確実となったら・・・


たぶん、争いは止み、私たち人類はみな「一地球人」として、

一致結束するだろうと思います(思いたい)。


むかし、何かのコマーシャルで次のようなコピーがあったのを記憶しています。


――――One world under the sun.

(世界はひとつ。みんな同じ太陽の下)


* * * * * * * * * *


◆モザイク的に集められた集団に何が必要か?

会社という組織内には、

いろいろな考え方のいろいろな人がいます。

そして、基本的には、配属は人事部(会社側)による任命ですから、

どんな上司、どんな同僚・先輩・後輩社員と一緒に仕事するかは

ほとんど自分で選択する場面はありません。


どこの会社の、どこの職場も、

おおよそモザイク的にたまたま集められた人間による集団です。


事業を日々進めていくにあたって、

トラブルは起こってくるわ、課題は山積だわ、怠ける人間は出てくるわ、などで

基本的に職場の人間関係は不安定で壊れやすく、

ほおっておいて好転することはまずありません。


特に、上司と部下の関係は、容易に感情論争になりやすく、

冷めたものになりがちです。

また、経営側と従業員側との関係も、容易にミゾができやすく

対立構図になりがちです。


こうした組織内の人間関係を、

相互に安定的かつ和合的なテンションで維持していくにはどうすればよいか―――

これはずっと以前から会社組織における重要なテーマの1つであり続けてきました。


そのテーマに対する解の1つが、皆で「第三点を共有する」ことだと思います。


◆2点より3点が安定する

従業員同士にせよ、上司と部下にせよ、経営側と従業員側にせよ、

不機嫌な二者間で閉じていると、

何かと硬直化して前に進んでいこうとするエネルギーがうまく出てきません。

そんなとき、互いが共同して見つめられる第三点を設定して、

そこに意識を開いていくわけです。


「この方法は、顧客のためになるのか?」

「このサービスは、会員に何を提供するものなのか?」

「この問題を、ユーザーの立場で考えるとどうなるか?」

「この取引システムは、取引先にとってもメリットがあるのか?」

「この考え方は、社会通念に照らし合わせてどうなのか?」


第三点としてお互いが見つめなくてはならないのは、

何よりも顧客です。そして、取引先であり、社会です。


顧客や取引先、社会の前では、

従業員であれ、上司であれ、経営者であれ、立場に関係なく、

皆、パートナーです。


04002


上司と部下が、また従業員側と経営側が、互いに感情論でにらみ合い、

不機嫌な平行線を描くとき、

結局、こういった第三点に開いた問いを発して、

駒を進めていくしかありません。


◆部下が大人にならねばならないときもある

ま、とはいえ、現実の組織の中には、

大人になってくれない上司や経営層もまたぞろいて、

部下や従業員のほうが大人にならねばならないときも往々にしてあります。


そんな時は、「忍」の一字でこちらが大人になりましょう。

大人げない上司や経営層をみて、それを反面教師とすれば

それもまた1つの学習機会だったということです。

私もサラリーマンを17年やって、

「あんな上司・役員にはならないでおこう」といった反面教師材料を

たくさん持っています。


いずれにしても、

良好な上司/部下関係をベースとして強い組織を形成しているところは、

必ず当事者たちが担当仕事の意味や意義を、

第三点として設定して共有しています。


その様子は次のコピーのように言えるかもしれません。


―――――“One team under the vision.”

(チームはひとつ。みんなそのビジョンの下)

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