身の丈ビジネス・百倍丈ビジョン
【沖縄・石垣島発】
島でのキャンプも3日め。
きょうは薄く陽射しのある1日で、気温は25度を超え、
Tシャツ1枚で心地よく過ごせました。
昼間は、底地(すくじ)ビーチに出て、書きものの仕事をしました。
木陰にピクニックシートを敷き、
ペンと白紙を持って、手書きでいろいろと考える。
たいてい私は、図を書いて、自分の伝えたいメッセージを精錬します。
そして、外から戻って、パソコン上で一気に文章化する。
それが私の思考→アウトプットの習慣です。
あと私は、外で考え事をするときは、たいてい
キャンプで使っている携帯用ガスコンロとケトルを持参します。
それでお湯を沸かし、ドリップコーヒーを入れて、ブレイクします。
きょうのコーヒーのお供は、島名物のマンゴーケーキ。
* * * * * * * * * * *
◆それ以上は受託しないぞという決断
さて、きょうの本題です。
私の生業の主たる売上は、
企業を顧客とする従業員向けの人財研修実施によって立てています。
しかし、私は不敵にも、年間で請け負う研修日数に関し、
「40日間を超えない」という方針で臨んでいます。
研修以外の40日は、
こうして島でキャンプを張って執筆仕事をしたり、
人事コンサルティングの仕事をしたり、
あるいは
社会的意義のあるボランティア(に近い)仕事などに充てています。
研修請け負いの日数に上限を設けるのはなぜか?―――――
その理由は、おおむね次のようなものです。
2)私の行うビジネスは量の拡大を必ずしも志向しない。
質の深掘りで勝負するため
3)身体のことを考えて
◆「思索する時間」という宝もの
忙しさに身を置くことは、ある種「俺は働いてんだゾ」という快感をもたらします。
また、私のように自営業の場合は、
仕事予定が入っていないと、すごく不安になります。
「ダイアリーが仕事で埋まる=売上が立つ」ということですから。
しかし、人は、忙しさで仕事をやったような気になりますが、
冷静に振り返ると、
その仕事を通して、
自分がどれだけ成長・進化できたか、
世の中にどれだけ新しい価値を生み出したかという点で、
非常に心もとない結論がみえてくることが多々あります。
例えば、私は
20代後半から30代初めの7年間、ビジネス雑誌の編集をやりました。
非常に忙しく働きましたが、
その忙しさの割りに、何が自分の中で積みあがったのだろう?
何を世の中に提供できていたのだろう・・・? と考えると、
・・・もちろん、面白く働いた仕事ですから、
自信を持って答えられるものはいくつかあります。
しかし、結局は、「消費される仕事」を繰り返していたんだな、と
いま振り返ってつくづく思います。
「消費されない仕事」を自らつくり出すためには、
きちんと立ち止まって、時間をとって、もっと思索をせねばならなかった。
だから私は、いまの仕事で、その轍を踏まないように、
仕事に関する思索の暇(いとま)をとるようにしたいのです。
既存に開発した研修サービスのプログラムは、
お客様から高い評価をいただいてはいるものの、
まだまだ改良・改善の余地は無限大にありますし、
他の新しい分野の教育プログラム開発も創造していきたいと思っています。
それは、ミュージシャンがよく言う
コンサートツアーで忙しくすればするほど
新曲・新アルバムの創作ができなくなることと同じです。
私にとって、研修の受託量をいたずらに増やすことは、
必ずしも賢明なことではないのです。
◆一軒の頑固な寿司店商売でいい
私は、いわゆる「インディペンデント・コントラクター」(独立請負業者)
として働いています。
つまり、「雇われず・雇わない」働き方です。
であるがゆえに、先に書いたように、
売上の拡大をいたずらに追わなくてもすみます。
だから、私は「身の丈ビジネス」でいいと思っています。
量を追うだけのビジネスや
功利主義が支配するビジネスは、私はごめんです。
そういう“量志向マッチョ”な土俵では、ビジネスをやりたくありません。
私のライフワークテーマは、
「働くとは何か?」「よりよく働くとはどういうことか?」を
万人が腹でわかるための教育プログラムをこしらえることです。
このテーマの深さは無限に広がっています。
だからこそ、質の深掘りに向かいたい。
私の事業を応援くださっている方々から、
「なぜ、村山さんは、その研修プログラムを標準化して
量販できるようにしないのですか?」とよく聞かれます。
そのときに答えているのは、こうです・・・
外食ビジネスに2通りあって、
1つは、同じメニューを多数の店で量産・量販できる体制を敷いてやる
ファミリーレストランチェーン。
もう1つは、頑固でこだわりをもった腕の利く板前がいて、
対面カウンターでしか出さない一軒の寿司店。
私は、「寿司屋がいいんですよ」と。
◆職の“持続可能性”を考えよ
私は、生来、身体がどちらかというと弱い部類です。
これまで、大きな病気やケガこそありませんが、
いろいろな面で常時、気をつかわないと、体調がダメになります。
40代を過ぎてからのキャリアを考えるとき、
「長く働き続けるために」という目線がとても大きくなってきます。
私はこれを「職のサスティナビリティ意識」と呼んでいます。
“サスティナビリティ”(sustainability)とは、「持続可能性」という意味です。
温暖化問題で、「地球環境のサスティナビリティが脅かされている」などといいますが、
生涯を通じたキャリアにもその発想が大切です。
医療の発達によって、人生が延びています。
ですが、仕事なしのリタイヤ人生や、病床に伏しての人生が延びることを
私は望みません。
自分の就労期間を延ばすこと(=働くことの持続可能性を高める)は、
ほかならぬ、自分自身の責任でやらねばならないことです。
* * * * * * * * * * *
このように私が志向する私自身の仕事・キャリアの方向性は、
「身の丈ビジネス」「身の丈キャリア」といっていいかもしれません。
しかし、それは、こじんまりうまく自己完結して渡世していけばいい
という意志ではありません。
身の丈というのは、側・外形がそのサイズでいいといっているのであって、
中身・内の心は、高く・深く・大きく理想を描いています。
その意味では、ビジョンは百倍丈ほども膨らませています。
夢や志については、他のところで詳しく触れたいと思います。