サラリーマンは“ニブリーマン”になるなかれ!
私はぶらり自転車で近所の味の素スタジアムに行き、
当日券を買ってJリーグの試合観戦をしました。
(FC東京vs名古屋グランパスエイト戦:結果は0-1)
私はサッカー観戦をちょこちょこやりますが、
いつも気になるのが、リザーブ(控え)の選手たちが、
華やかな緑のピッチの脇で、試合中、幾度もダッシュを繰り返しながら
身体を温めて準備している様子です。
彼らに出場機会があるかどうかはまったくわからない。
むしろないことのほうが多い。
出られたとしても、後半残り10分くらいのときかもしれない。
場合によっては、チームがリードしている情勢で、
少しの時間稼ぎのための交代だってある。
しかし、そんなわずかな出場でも、チャンスはチャンス。
リザーブの選手にとっては、死活問題です。
◆サッカーの思い出:補欠選手のはがゆさ
私も小学生のころ、サッカー少年でした。
練習は真面目でしたが、万年補欠で、
ついぞレギュラーのポジションは得られずじまいでした。
いつも出場は、後半30分あたりから。
その交代とて戦略的なものでなく、監督のおはからいによって、
「村山は練習真面目だしな、ちょっと行ってこい」みたいな、そんな感じでした。
モチベーションという言葉は、子供のころは知りませんでしたが、
補欠選手として「やる気」を自分の中に維持するのは
ほんとうに苦しかったという記憶だけ残っています。
「きょうも人情交代だろうなぁ」と思うと、朝起きるのがおっくうになる。
母親が弁当を豪勢に作ってくれればくれるほど申し訳ない気がする。
試合を補欠席でみていて、レギュラー選手の巧さに「やっぱすごいなー」
と劣等感を覚えるのと同時に、
レギュラー選手がヘマをすると「俺なら、ああするのに、コンチクショー」
とアタマに血が上る。
試合後の昼食時、レギュラー選手たちは試合の内容をあれこれ談議して
盛り上がる。その横で、補欠組は、黙々と弁当を食う・・・
だから、私は、ピッチの脇で黙々と身体を温め、
「俺を出せ。俺を使え」と無言のアピールをしている選手たちの気持ちが
少なからずわかります。
しかも、彼らには生活がかかっている。
◆目の前の仕事は「チャンス」に溢れている
さて、話を「働くこと」に移しましょう。
平成のビジネスパーソンたちは、「働くこと」のチャンスに
どれだけの感謝と、それを面白がる心持ちでいるでしょうか?
過酷なプロスポーツ選手ほどではありませんが、
ビジネス現場での1つ1つの業務や仕事、プロジェクトは
ある意味、勝負事であり、
ストレスやプレッシャーと戦いながら、
より高いパフォーマンスや結果を出していかねばならない有給の任務です。
仕事は、実にさまざまなチャンス(機会)を私たちに与えてくれます。
つまり仕事は、
・自分の可能性を開いてくれる成長機会であり、
・さまざまな人と出会える触発機会であり、
・何か事を成し遂げることによって味わう感動機会であり、
・学校では教われないことを身につける学習機会であり、
・ひょっとしたら自分も有名になれる名声機会であり、
・あわよくば一攫千金を手にすることもある財成機会でもある。
◆「チャンス」への感覚が鈍くなるサラリーマン
私は17年間のサラリーマン生活をやめて、5年前に独立しました。
独立後、劇的に意識が変わるのが「お金」と「チャンス」への向き合い方です。
会社で宮仕えをしている身であれば、給料は安定的に支払われますし、
仕事は何かしら自動的に振られてきます。
したがって、サラリーマンにどっぷり浸かっていると、
どうしてもカネとチャンスに対して意識が鈍化しがちになります。
その点、自営業で、独り世の中に対峙すると、
いやがうえにもカネとチャンスに対して意識が先鋭化してきます。
よいチャンスの獲得は必然的にカネを呼んできますから、
特にチャンスは決定的に重要だと認識するようになります。
サッカーの話を再度すれば、
日本代表としてピッチに立てるのは11人だけです。
欧州リーグでプレーする実力選手ですら代表に選ばれない場合もありますし、
代表に選ばれたとしても試合に出られない場合も多々あります。
残り数分で交代という出場でもかなり幸運と思わなくてはなりません。
実力があっても、仕事ができない、仕事舞台にすら立てないというのが
厳しいプロスポーツの世界です。
ですから、チャンスを得たことに自然と感謝の念が湧き、
過酷なプレッシャー下でも「楽しんでやろう」とするのが、
真のプロフェッショナリズムの心情だと思います。
深い次元の仕事の「楽しみ」「喜び」とは、
感謝や自負心、使命感から生まれます。
◆小さな仕事はない。仕事を小さくしている人間がいるだけ
さて、会社員のみなさんの目の前には日々、大小さまざまに
会社側から仕事が振られてきます。
些細な雑務、ヤボ用、単純作業、外回り、いやな上司からの無理難題・・・
どれだけその仕事がつまらなくても、会社員は幸せな類です。
なぜなら、
すくなくとも、ピッチの上に立って、それが行なえるという状況なのですから。
ある意味、労せずして、レギュラーポジションを確保している身です。
小さな役はない。
小さな役者がいるだけだ。
とは、演劇の世界の言葉ですが、
そのつまらない仕事を活かすも殺すも、結局は自分次第です。
与えられた仕事に対し、
それをチャンスだと認識しなおし、
どれだけ深い次元で「楽しむ」ことができるか――――
仕事を深く「楽しむ」ことができれば、おのずと
・いい成長、
・いい出会い、
・いい感動、
・いい学び、
・いい評判、
・いい収入が
「ごほうび」として待ち受けていることでしょう。
同じ会社員でも、チャンスに鈍い「ニブリーマン」となるか、
それともチャンスに感謝してそれを深く楽しむことができる
「ビジネス・プロフェッショナル」となるか・・・
すべては自分の心持ちひとつ。