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2009年5月 5日 (火)

血肉になる読書法:私の場合

Dokusyo1

世間では5月の連休真っ只中。

私は自営業なので、あえて人が混む日に出かけずとも
オフシーズンや平日を選んで、仕事の調整をして出かければいいと思っています。
1月末の沖縄や、5月連休後の信州の山などは、
静かな海や山に身を置けるので、とても気分よく仕事ができる。旅費も安い。
だからそういうとき、私はまとまった仕事を持って、東京を離れます。

ですから、私のGWは毎年、近所の公園でピクニックランチと読書と決め込んでいる。
(天気が良ければ毎日でも)
私にとって公園は、自分のオフィスの延長スペースだと思っていて、
そこにキャンプ用のテーブルとイスを出し、
本を読んだり企画書を書くことを普通にやっています。

5月のこのころの風は、木陰にいるとほんとうに心地よく、
持参したワインとチーズとパンと読書がはずむ。
(もちろんアイデアもはずむ!)

さて、きょうは読書法の話です。

先日、とあるところで話をした際、
私の読書法について聞かせてほしいと手が挙がったので、手短に紹介しました。
そのときの内容を整理して書きます。

私が紹介する読書法は、テーマとしては「血肉になる読書法」についてです。
(速読法とか多読法とかいったものではなく)

読んだ本の内容を、いかに自分の思考の養分・思想の血肉としていくか―――
それについて私は3段階の作業が必要だと考えます。

■作業1:「読む」
まず、「読む」こと。
これは当然の行為ですが、必ず、自分が気づきを得た箇所、重要だと思える箇所には
マーカーを引くなり、付箋を貼るなりしてチェックをして読んでいく。

■作業2:「書き留める」
読み終わり、自分がチェックした箇所を
メモ帳に書き留めるか、パソコンに文字入力して保存する。

ちなみに私は、マーカーを引いた箇所を3つの重要度レベルに分け、
・レベル高:メモ帳に書き留め+パソコンに入力(私はエクセルに放り込んでいる)
・レベル中:パソコンに入力
・レベル低:マーカー引きのまま

■作業3:「引用する」
仕事の企画書であれ、プライベートのブログであれ、自分の表現する文章において、
自分の考えを補強したり、読み手により深い理解を促したりするために
過去の作業2で書き留めた中から一文を引用する―――これが決定的に重要です。

読んだ本を自分の血肉とするためには、
読むだけでは不十分で、重要個所を書き留めなければなりません。
でも、書き留めただけでは、まだ不十分です。
それを自分の書く文章の中で引用して初めて血肉になります。

例えば、私は今度の本(『ぶれない「自分の仕事観」をつくるキーワード80』)の中で
哲学者アンリ・ベルグソンの

“生命には物質のくだる坂をさかのぼろうとする努力がある”
                                                                         ―――『創造的進化』より

を引用しました。
この一文を引用することで、私は、

1) この一文の深意をつかもうと、その前後を再度しっかり読む
2) この一文を強く記憶する(単に書き留めるよりも)
3) 自分の(未熟な)思考レベルをベルグソンのレベルに少しでも近づけることができる
4) そしてこの一文は、以降、私の思想の血肉となる


Dokusyo2 このように引用という作業には、多くの思考鍛錬効果があるのです。

ですから私は、思考力を鍛えたいのであれば、多読ではなく、一冊の深読を強く勧めます
深読は、引用する作業によってなされます。
言い換えると、単なるインプットだけの読書は浅いレベルにとどまり、
アウトプットとして用いて深いレベルのものが獲得できるということです。

また、深読(シンドク)とは、次のシンドクにもつながっている。
・身読:身をもって読む
・心読:心で読む



本を読み、
重要個所を書き留め、
引用する。


この作業は、ピーター・ドラッカーの言う「知識労働者」であれば、
すべての人が習慣化すべきことがらです。
陸上競技選手でいう日々のランニングであり、
野球選手でいうバットの素振りです。


Dokusyo3
読みっぱなしにせず、重要個所を「書き留める」習慣をつける。
思考深い人というのは、概して「メモ魔」です!

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