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2013年4月17日 (水)

種籾の準備 ~一粒から生まれる力

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 私は「徴農制」という言葉を、丹羽宇一郎(伊藤忠商事元会長、前中国大使)さんが話題にしているときに初めて知りました。調べてみると、徴農制は過去の人類社会のなかでさまざまに試行されているようです。ただ、体制側の思想的な操作がはたらくことが多く、歴史的に成功した例は少ないようです。
 ですが、「徴」という国民を召し出す制度ではなく、「農」の体験を広く人びとがすることはとても大事なことだと思います。

 「農」の営み───それは、いのちを育み、いのちをいただくことです。
 いのちの不思議さを知り、いのちの尊さを知ることです。
 自然を耕すことは、自分を耕すこと。

 みずからがつくり出す現代文明でありながら、皮肉にもその激流にさらわれ、もはや自分たちがどこにむかうのかをコントロールできなくなった私たちにとって、「農」こそが本来の人間らしさを取り戻すための唯一の矯正機能かもしれません。

 さて、私はこの春から地元の有志が主宰する『田んぼの学校』に入学しました。一から稲作を習おうと思っています。その様子をこのブログでも綴っていきたいと思います。

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 6月の田植えを前に、「種籾(たねもみ)」の準備をします。米は、言うまでもなく普段みているあの米粒が種です。「ご飯茶わんに米粒を残しちゃだめよ」とよく母親に言われました。1粒の米を育てるとそこから何粒くらい収穫できるかご存じですか?───調査によると500粒くらい(多いものでは1000粒)だそうです。1粒の米はそれほどの繁殖力を宿しているのです。ですから1粒の米も残せないという気持ちになりますね。

 種籾は当然、生命力の強いものを選別しなくてはなりません。その方法が「塩水選」です。ある濃度の塩水(水200gに対し塩16g)に種籾を浸して、沈んだものがよい種籾となるそうです。つまり、中身が重く詰まったものが生命力もあるということですね。古人の知恵はシンプルです。

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 そうして選別した種籾を水洗いして水に浸ける。すると数日で発芽するそうです。今回の作業はここまで。種から芽を出すことの観察、実に小学校以来です。

 さぁ、この種籾の選別・発芽から、約半年間の「いのちを育み いのちをいただく」ことの旅が始まります。

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