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2009年4月

2009年4月13日 (月)

“知識・技能でっかち”ばかりを育てていないか!?

Think4 間もなく発売になるビジネス雑誌『THINK!』 (東洋経済新報社)の掲載誌が届いた。
同誌での連載「強い個・強いキャリアをつくるセルフ・リーダーシップ」は、今号で最終回(4回目)を迎えます。

今回の企画テーマ「セルフ・リーダーシップ」つまり「己を導く能力」の背景には、
今の企業の研修は“知識でっかち・技能でっかち”ばかりを育てていやしないかという目線があります。

知識や技能ばかりが肥大化した働き手は
業務を効率的にこなすことに長けはするものの
自分の中長期の職業人生をどこに導いていっていいかに優れるわけではない。

また、知識や技能ばかりが肥大化する働き手を
「プロフェッショナル」と呼ぶことにも私は抵抗がある。

今回の本文ではこう書きました:

「これからの時代に求められるプロは、
頭と手が異様にデカくて、首以下の身体がヒョロヒョロに描かれている、
あのお決まりの宇宙人のイラストのようなものではなく、
しっかりとした腹を持ち(=観をつくり)、
ハートに熱を帯び(=おおいなる目的を抱き)、
強い二本脚で闊歩するという
健やかにバランスのとれたイメージでとらえるべきだと思います。
すなわち、プロを語る際には、「高い専門性」のみではなく、
「全人的に×個として強い」かどうかという重層的な観点が必要となるでしょう」。


Think 人財教育からみた「プロ論」です。
是非、書店で本号を手にとって見てください。
(特に、人事に関わるプロの方々に!)

それにしても、『THINK!』誌の藤安編集長にはとてもお世話になりました。
この場を借りて御礼申し上げます!

2009年4月12日 (日)

岡本太郎『強く生きる言葉』

私は日ごろ、企業の従業員や公務員に向けて
“一個のプロであるための意識基盤”をつくる研修
(「プロフェッショナルシップ研修」と名づけている)をやっているわけですが、
そこで重要視しているのが
「個として強くなる」というメッセージ、そしてプログラムです。

もちろん企業や官公庁の事業は組織体で行う規模のものが多く、
チームプレー・協働性が大事であることは言うまでもありませんが、
根っこのところの個人が強いか強くないかは
結局、組織パフォーマンスに大きく影響している重大問題です。

日本のサッカーが世界レベルで強くなっていくためには、
組織力や戦略・戦術面での強化だけではもはや限界があることがわかっています。
1対1で強い選手を育成していくことが今後の必須課題であるのと同じように
企業現場、行政組織現場においても
一個の職業人として強いプロフェッショナルを育てていくことが
優れた商品・サービス創出、
ひいては国力にもつながっている問題だと思います。



Photo_3 一個の職業人として仕事とどう向き合うか―――
それを学ぶためには、
独り仕事と格闘している人間の精神性や観を学び取るのが有効です。

私はそんなとき、芸術家の著作を好んで読みます。
きょうはその中のひとつ
岡本太郎『強く生きる言葉』(イースト・プレス刊)とその姉妹本である『壁を破る言葉』を紹介します。

岡本さんは比較的多くの著作を残されていますが、
この本は、そうした著作の中から、特にオーラを放つ言葉を厳選してあるので
岡本太郎の命の激しさを感得するには格好の本だと思います。

* * * * *

「財産が欲しいとか、地位が欲しいとか、
あるいは名誉なんていうものは、ぼくは少しも欲しくはない。
欲しいのはマグマのように噴出するエネルギーだ」。


「いつも自分自身を脱皮し、固定しない。
そういうひとは、つねに青春をたもっている」。


「芸術とトコトンまで対決し、あらゆる傷を負い、猛烈な手負いになって、
しかもふくらみあがってくれば、これこそ芸術だ」。


私にとっての岡本太郎のイメージは、もはや人間というより、
人間の形をとっている“生命力の放出体”というイメージです。
言葉自体からエネルギーが噴出しているので、読み手も感応して同じくエネルギーを湧かせることできる。
元気の萎えたときの岡本節は実に良薬(強壮剤?)といった感じです。

* * * * *

岡本さんは、コンプレックスや自己嫌悪といった“逃避行為”を極端に嫌った人でした。
たぶんご本人も幼少のころから、そうした感情との葛藤・超克があったんだろうと思います。

・「他人が笑おうが笑うまいが、自分の歌を歌えばいいんだよ」。
・「ひとつ、いい提案をしようか。音痴同士の会を作って、
そこで、ふんぞりかえって歌うんだよ。
それも、音痴同士がいたわりあって集うんじゃだめ。得意になってさ。
しまいには音痴でないものが、頭をさげて音痴同好会に入れてくれといってくるくらい堂々と歌いあげるんだ」。


・「人間というものは、とかく自分の持っていないものに制約されて、
自分のあるがままのものをおろそかにし、卑下することによって不自由になっている。
自由になれないからといって、自己嫌悪をおこし、積極的になることをやめるような、
弱気なこだわりを捨てさらなければ駄目だ」。


・「ひとが「あらいいわねえ」なんていうのは、
「どうでもいいわね」と言ってるのと同じなんだよ」。


* * * * *

そして、岡本さんは生涯「若さ」を貫いた人でした。
保身・現状満足・老いに徹底抗戦した人でした。

・「自分という人間をその瞬間瞬間にぶつけていく。
そしてしょっちゅう新しく生まれ変わっていく、
エネルギーを燃やせば燃やすほど、ぜんぜん別な世界観が出来てくる」。


・「自分から出た瞬間に、作品はすでに他者。
それはぼくにとって、もはや道ばたの石っころと何もかわらない」。
・・・「芸術家の情熱は何も作品に結晶するばかりではない。
作品の以前と以後。そしてまた創られた自己の作品をのりこえるという意思。
それをひっくるめて創造だ
」。


・「熟したものは逆に無抵抗なものだ。
そこへいくと、未熟というものは運命全体、世界全体を相手に、
自分の運命をぶつけ、ひらいていかなければならないが、
それだけに闘う力というものを持っている」。


・「むかしの夢によりかかったり、くよくよすることは、
現在を侮辱し、おのれを貧困化することにしかならない」。


* * * * *

そして最後にこの一言。

・「女性が身を売るというと、そこにはセックスが介在するけど、
男だってこの世の中に生きていくためには、みんな生活のために身を売っているじゃないか。
精神的にも肉体的にもね」。


・・・いや、実にキツイ、岡本さんの一撃ではないですか。
パンを得るために、身も魂も売り払っているサラリーマンが世の中にどれだけ多いか。
内なる心の叫びのままに、それを仕事としている人がどれだけ少ないか---
そういうことですね。


Shinme
(桜の花と入れ替わりに新葉が日に日に大きくなる)

2009年4月 8日 (水)

よいプロフェッショナルがもつ「おすそ分け」思想

Yozakura01_2

Yozakura02 昨晩は、調布・小金井・三鷹の三市民が楽しみにしている年に一晩(3時間限り)の「野川桜ライトアップ」イベントがありました。
(写真上:写真左は昼間の様子)

野川は、国分寺崖線の湧水にその源を発し、国分寺市、調布市、小金井市、三鷹市、狛江市、世田谷区を流れ、多摩川へと合流する一級河川です。

一級河川とはいえ、両岸は野草に覆われ、さまざまな野鳥が棲み、遊歩道(兼サイクリングロード)が延々続くのどかな川です。
今時期は、桜と川べりの菜の花が絵になる景色です。

そんな季節に行われるのが「野川桜ライトアップ」。
野川の桜並木(調布市佐須町付近)約650mに照明を当て、
散歩鑑賞するというイベントです。

夜桜照明か、なーんだ、それならどこでもやってる、と思ってはいけません。
私も夜桜はたくさん観てきましたが、おそらく
その圧倒される美しさ(特に花の白のまぶしさ)は、ほんとうに「日本一」だと思います。
(私だけでなく、たぶん来た人はみんなそう確信してると思います)

ここの夜桜照明が日本一のまぶしい白の美しさを出すのは、なぜか?

それは、使用している照明機材にあります。
機材の詳しいスペックは素人なので分かりませんが、
映画やCFなどの撮影に使う高輝度の大型ハロゲンライトです。
一基でも相当にまぶしい出力がありますが、それを惜しげもなく何十基と設置しています。
(ですから、大型の発電車も稼働させています)

写真をやる方ならご存知のとおり、
ハロゲンライトは太陽光に近いため、色かぶりがなく、桜の白がくっきり白に出ます。
それが、夜空の黒の中に浮かび上がる景色は荘厳です。
そして、水面(みなも)には、それが反射して写り込む。
しかもそれが川の両岸650mに渡って続く。

・・・とまぁ、この美しさは現地で目の当たりにしないと実感できないものですが、
これを読んでくださる方は、来年は遠出してでも来る価値は十分ですので
是非、注目していてください。

* * * * *

で、前置きが長くなりましたが、本題はここから。

このライトアップ、今年で19年目になるのですが、どこが主催しているのか?
実は、いまでこそ来場者が増えすぎたため、
調布市がある部分サポートし、警察署などが協力して交通誘導などをしていますが、
基本的には、スタート時からすべてボランティア運営です。(入場も無料)

その強力で大型のハロゲンライト機材、一台あたり相当な価格のものだし、
その台数を考えると設置コストも大変なものです。
しかし、それらは「アークシステム」という照明会社が自腹でやってくれています。
機材導入も設置も撤収も。
(一般的な作業に関しては、市民ボランティアの力も借りています)

ことの起こりは、19年前、当時野川沿いに事務所を構えていたアークシステムさんが
社員の花見用として、野川の桜の木一本にハロゲン照明を当てて楽しんだ。

そしたら、その白く浮かび上がる美しさが近所の人の評判になって
照明の数を増やしていくことに。
そして、口づてにどんどん人が集まり出し、照明の数を増やし、今に至る。

今のイベント規模になると、
その運営コスト・労力負担、リスク負担(機材は雨に当たるとダメになる)は
相当なものになると思いますが、アークさんはやり続けてくれています。

ほんとうに有難うございます。

人によっては、結局、それって照明会社が技術力を誇示して
営業に結びつけるデモの一貫じゃないの、という見方があるかもしれません。
しかし、私は、このイベントの自腹継続は、アークさんのまごころというか、
「おすそ分け」の気持ちからきていると思っています。

「自分たちだけできれいな花見を楽しんでいるのはもったいない」
「近所の人がよろこんでくれるなら、どんどんやってあげよう」
「そして、どんどん人が集まってきて、名物行事にでもなれば自分たちもうれしい」
―――単純にそんな気持ちの発露からやってくれているんだと思います。

真に優れたプロフェッショナルというのは、
みずからの専門技術や知識の供与において、報酬に拘泥しないのが原義です。


「プロフェッショナルの原義」については、本ブログのここで触れています。

私は、プロは安い報酬で奉仕せよといっているのではありません。
お金を持っている人からはそれなりに(高く)いただけばいいし、
お金のない人にはそれなりに(安く)してあげればいい
と言っているのです。

その理想像は「赤ひげ」先生です。
(医は仁術であるとして、貧乏な患者からは治療費・薬代を取らない)

「プロの技」と「私欲のない社会精神」が結びついたとき
私は、そのプロフェッショナルをカッコイイと思う。


アメリカなどで法外な顧問料を取ってそれを誇らしげに語る弁護士やコンサルタント、
あるいは、GMの某会長のように多額の退職金を受け取ろうとしている経営者、
それらはカッコ悪いプロフェッショナルだと思いますし、
プロフェッショナルの原義にそもそも反しています。

Yozakura04

2009年4月 5日 (日)

進入学に贈る ~ 「一日即一生」

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(都立武蔵野公園にて)


学校においては進入学、
企業や官庁においては新期の季節がやってきた。
4月1日や4月の第一月曜日というのは、多くの人にとって心機一転の一日です。

私は「新生」「蘇生」という言葉が好きですが、
まさに桜満開の4月はスタート、リ・スタートにふさわしい季節です。
ビジネス生活にせよ、私生活にせよ、
ややもすると惰性に流されがちになる日々において、こうした区切りの日をもって
新生・蘇生していくことは大事なことだと思います。

* * * * *

とまぁ、新入学・新期に寄せて、そういうことをやんわり書いておいて、、、
でも、新生・蘇生の区切りは、
1月元旦とか4月という年2回だけではダメなんだろうと思う。

突き詰めたいのは「日々新たなり」ということです。

私も会社員をやっていたころは、
多少の変化・刺激はあれどルーチンに回っていく日が大半で、
リフレッシュスタートの機会といえば年に数回で十分でした。

ところが、独立して事業を始めると、そんな悠長な意識ではいられなくなった。
日日(にちにち)を新たにし、日日に蘇ること―――
これが大事なんだなと思う、というか、
自分の仕事に没頭してその深みを追求し、独り、市場と向き合っていると
必然的にそうなっていくというのがほんとうのところです。

独立してもう7年目になりますが、
日々新たに蘇る感じでやっているので、正直なところ老いていく感じがない。

ものごとを熱中してやっている人がフケにくいというのは
他人ごととして知っていますが、
たぶんこういうことなんだろうなという自覚ができるようになりました。

「一瞬も一生も美しく」。

これは、資生堂の企業メッセージです。

これにあやかって言うなら、「一瞬も一生も若く強く」です。
一瞬一瞬、そして一日一日を若く強く生きる人は、一生を通じて若く強い。

一生は漠然と遠くない。それは、一瞬、一日にある。
つまり、 「一日即一生」 。

だから、一瞬、一日を若く強く打ちこめる「何か」を手にした者は、最高の幸福者だと思う。

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(きょうの一日が終わって、また明日の一日は新しい:多摩川にて)

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